ムック
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■アーティストについて

大体は日記で書いた通りです。

まだビジュアルにハマる前に、友達が学校に雑誌を持ってきたんですよ。
目も口も真っ黒なメンバーを見た瞬間「呪われる!」って思いましたね。
今ではこの化粧が無いと物足りなかったりするんですが。

曲はとにかく重い、暗い、痛い。アルバム聞いてると必ず一回は「なんで私は生きてるんだろう…」と本気で考えてしまいます。歌詞も一体どんな人生を送っていればあんなのを書けるのかと。特に怨念込めまくりなコーラスの人。

とりあえず精神的に弱ってる人にはおすすめできません。
あとヴォーカルの声や歌い方にちょっと癖があるので好き嫌いが別れそうです。

…だったのですが、最近は盲目が故の疎外感や絶望しか存在しない場所から抜け出したのか目や体や感情を返してもらったのか分かりませんが愛を歌えるようになったようです。
あと、切ないバラードも得意になりましたね。雨のオーケストラとか綺麗過ぎてびっくり。

電柱とはもう話せなくなっちゃったのかなと寂しく思いつつも、今の方向も嫌いではないので頑張っていただきたいです。個人的にはもう少し泥臭くてもいい気がしますが…。
朽木の灯
初めて友人に借りたムックがこれとココロノナイマチ(シングル)でした。
もう何回聞いたか分かりせん。自分で買わずにMDに写したのとかあんまりレビューしたくは無かったんですけど、これだけはさせてください。ってな感じでレビューしちゃうほど好きなわけですよ。
これ以前のも借りたわけですが、やっぱり一番聞き込んだのは朽木でした。

最初にシングルのココロノナイマチから聞いて「いい曲だなー」ってしんみり思った後にこれを聞いて絶句しました。多分ココロノナイマチだけ借りてたらライブに行くほどハマる事はなかったでしょう。

ランダム再生したら初っ端から朽木の灯でビックリしたと日記で書きましたが、その時はいい「日記のネタが出来た」ぐらいしか考えていませんでした。その後もう一度ちゃんと聞くと先程も書きましたがもう本当に絶句ですよ。

何も考えずに聞いててまずは「遺書」で耳が止まりました。当時進路について真剣に悩んで鬱気味だった私にこの歌詞は壮絶すぎました。もうこれだけでも泣きそうなのに「未完の絵画」「濁空」「幻燈讃歌」でさらに沈む沈む。んで死にたいと軽く考え始め時に「死にた〜くて〜目を閉〜じた〜」ですよ。殺す気か。なんて凶悪なコンボなんだ。この後の曲も攻撃性激しくて本気で私を殺しにかかります。

…が、イントロを挟んでだんだん前向きになってきます。「溺れる魚」や「路地裏」は結構来ますが最初のコンボほどではありません。「名も無き夢」とかこんな曲を書けたんですかあなたはと素で思いました。そんなこんなで油断していた時に「朽木の灯」…。最終的にはやっぱり殺す気か。で終わるわけですよ。

■何曲かチョイス

・誰もいない家

鍵っ子の歌なんですが、聞いていると孤独感とか寂しさとかが痛いほど伝わってきます。
表現が凄いからなんだろうなあ。「孤独という化け物に喰われた」とか「誰だって目を閉じたなら独りになるんだ」だとか。悪く言えばかなり大げさな表現ですが、小さい子供にとっては誰もいない家はこのぐらいに感じるんだろうな。
多分これ実話ですよね…そうじゃなきゃこんな表現出てくるわけないと思います。


・遺書

おそらくこのアルバムの中で一番たくさん聴いた曲。
怨念コーラスことミヤの詩はとにかく悲痛なものが多いのですが、これは特に痛い。初めて聞いた時はマジで衝撃を受けました。どのくらいかってCD返したにもかかわらず(MD購入前)チャリ漕いでる間もバイト中も頭の中で流れるぐらい。いやー、あの頃は病んでたね。

歌詞を見ずに聞いていた時には後半のマスメディアについての批判はちょっと唐突に感じましたが、歌詞をちゃんと見ると納得。この世界ってのはこういう事だったんだなーと。そう思ったらまた痛々しくて…。

精神的に弱ってる人に聞かせるのは絶対やめましょう。
この曲は本気で人を殺せるわ…。私も軽く殺されかけましたし。


・未完の絵画

遺書に続いてこのコンボは最凶ですよ…。

切ないバラード。とにかく曲が好きです。
最初少し激しめに始まったと思ったら歌が始まると急に寂しくなるところとか好きです。
特に最後のサビに入る部分は鳥肌が立ちました。重たい音が急に消えたかと思えば本当に泣き叫んでるような逹瑯の叫びと同時に一気に襲い掛かってくる。曲で鳥肌が立つなんてラルクの浸食以来です(多分)。

歌詞もまた悲痛。特に「十字にひきさかれバラバラになった」から「ちぎれた破片拾い集めて〜」への流れが凄く切なくて涙腺に来ます。遺書でボロボロなのにこの追撃は辛いぜ…。


・名もなき夢

どうしたムック。

…と最初は思いましたが、そういえば葬ラ謳のおまけCDでゆずっぽいのやってたっけ。それならこういう曲も書こうと思えば書けるわけね。納得。

いわゆる一時期流行った「青春パンク」な曲。175Rとかその辺ですね。歌詞も曲に合わせてかとにかく前向きで一般ピープルの前でも堂々と歌えます。てかこれだけ歌ったら多分ムック=青春パンクバンドという大きな誤解を招きそうです。なのでこれを歌った後はズタズタ辺りを歌って誤解を解いてあげましょう。

しかし、ちゃんと聞くと良く出来た曲だなあ。間奏でちょっと溜めた後の疾走感とか。もしかして本気でこの路線狙えるんじゃないんだろうか。いや、狙って欲しくはないけど。


・朽木の灯

これは歌ではなく叫びだと最近気が付きました。
歌詞も曲も重たいですが、この曲は逹瑯のヴォーカルがとにかくヤバい。ミヤの怨念コーラス以上の怨念を放っています。そのあまりの痛々しさに聴いているこっちが疲れてくる。「遺書」や「未完の絵画」などとは違う意味で精神力を削られる曲です。
っていうか体力も消費するような気がする。聴き終わった後は一気に脱力するもんなあ。

とにかくこの凄さは本気で聴かなきゃ分からないので、聴け。
ただし、精神的に弱っている時は絶対にやめましょう。


■簡単一言レビュー

・濁空
とりあえず勢いが凄いです。低音な早口でなんか迫ってくる。

・幻燈讃歌
「濁空」もそうだけど前作のアルバム「是空」の勢いをそのまま持ってきたような曲。
しかしミヤ続きは結構キツイもんがありますね…。

・暁闇
「あかつきやみ」でいいんだろうか。ユッケ曲って綺麗なメロディなのが多い気がする。
そんな綺麗なメロディで「死にたくて〜」なんですがね。サビはヘビィ。

・2.07
インスト。ここから曲の流れがガラリと変わります。ドラムがバンバン鳴ってる。

・ガロ
すんごいガリガリロックロックしてます。本当に噛み付いてきそうだ…。

・悲シミノ果テ
結構攻撃的な曲調なのに気分が落ちる…。
「どうしても消えない傷は抉り取ってしまえばいい」って凄いこと言うなあ。

・路地裏 僕と君へ
大人しめな始まりで油断してるとサビで爆発。最後の方の勢いも凄いわ。
PVの達郎の爆発っぷりも凄いんでそっちもお勧め。

・溺れる魚
ゆっくり語りかけてくるフォークソング…と思って油断したら後半はバリバリバンド。

・モノクロの景色
うん、ムックにしては普通に聞けます。歌詞も普通にバラードですし。
名も亡き夢とこの曲で油断していると朽木が来るんですよね…。

■まとめ

とにかくこのアルバム、聴くといい感じに落ちます。
痛絶や葬ラ謳も落ちるけど、体力は消耗しないもんなあ。
やっぱり最後の「朽木の灯」の存在が結構大きいのかも。

15曲もあるのに全然ダレてこないし、一曲一曲の完成度も高い。
今のところムックの中では一番好きなアルバムです。

あと、「朽木の灯」の演奏時間がやけに長いと思ったら、全体の演奏時間がちょっきり69:00(ムック)になるように調整してたのね。こういう変なこだわりは好きです。
でもこのおかげでリピート再生にできないのがちょっと…と思ったけど、そんな自殺行為誰もしないよなあ。逹瑯の叫びに体力も気力もなにもかも吸い取られる。

鵬翼
友達と共同購入。友達はDVD付きで私はおまけCD付きを購入しました。
白っぽいケースに是空と同じ鳥の絵で見た目はすっきり爽やか。
…ですが何てったってあのムックです。油断してはいけません。爽やかな見た目や静かなイントロでそっと近づいてきていつ殺されそうになるか分かりません。なぜならムックだから。

まず心の覚悟をしてCDのスイッチをオン。今回はイントロ無しですが静かな始まり。バッチリ身構えて「さあ、いつ襲い掛かってきてもいいぜ逹瑯!」状態だったのですが、まったく襲ってきません。

なんだこの死臭の無さは!!

私の中のムックはこう、泥臭さ(死臭)があって包丁とか剃刀とかの鋭利だけどちょっと錆びた刃物で襲い掛かってくるようなイメージがあったんですが、今回はそんな曲は無いです。

最初一通り聞いたときはこの殺気の無さに脱力したもんですが、何度も聞くうちにハマっていく。なんだ、もしかしてこれが噂の「スルメ」ってやつですか。なんか、ざっくりは来ないけどじわじわ削ってきます。

なんか「僕が本当の僕に〜」や「遺書」のような曲が刃物でざっくり刺してくるのならば、このアルバムに入ってる曲はマチ針を一本一本胸に刺してくるようなそんな感じです。そして積もった痛さで死にそうになった時に最後の「ココロノナイマチ」で針を抜いて「翼」で消毒してくれる、そんな後味スッキリなアルバム。「ココロノナイマチ」は最初の方は刺してきますけど。

■何曲かチョイス

・輝く世界

静かに始まって徐々にテンションが上がっていく歌。
今回はイントロが無いのですが、この曲のおかげですんなりと入り込めました。
この何ともいえない胸の締め付けは毒が無くてもムックだなあと感じられます。
しかし、最初聞いたときは逹瑯の裏声にびっくりしたけど今は大好きです。


・赤線

出た!怨念コーラス。あまりの怨念のためかついにコーラスを越えて叫びだしましたよ。もうこの怨念ぶりが本当に大好きです。この語りは9月3日の刻印を越えました。
結構いつものミヤ曲ですね。サルでの勢いをそのまま持ってきた感じ。
自殺の曲を「やっとやすらげたんだね〜」でシメるのはさすがというか。最後の裏声の入るタイミングがなんか切なくて好きです。

なんか東京をこういう風に語る曲を聴くと尾崎豊っぽいなあと思ってしまう。


・最終列車&1R

シングルの時にこのタイトルと白黒写真(すっぴん)で登場した時はどうしたのかと思いました。
だってなんか凄く演歌っぽくないですか?このタイトル。
てっきりおまけCDのようなフォークなバラードかと思ったらなかなかの疾走感でびっくりしました。
イントロのギターとベースの掛け合いがかっこいい。

この後の1Rと繋がってる(と私は勝手に思ってます)のですが、こっちは最終列車と違ってなんかメリーとかシドっぽいレトロな歌謡曲風。なんかもう哀愁という言葉がバッチリ合います。最終列車単品ではそこまで無いけど二曲続けて聞いた後はしんみりした気分に…。


・昔子供だった人たちへ

うわー、これキツイ。切なくてキツイ。なんだか胸の部分が強烈に締め付けられる。言葉で説明し辛いけど小学生の頃の通学路を久しぶりに歩いた時や幼い頃の将来の夢を書いた作文や文集を発見して読んだ後に感じるあの切なさみたいな…。こういう曲には弱いんです私。

なのに、曲調はなかなかロック。
歌詞見た時はてっきり溺れる魚みたいに語りかけてくるようなのだと…。


・雨のオーケストラ&こもれび

すごい壮大なバラード。
何この綺麗で切ないメロディ。歌詞も曲と合わせて切なさ大爆発。そしてタイトル通りオーケストラ採用。ただでさえ歌詞も曲も切ないのにこれ以上切なくしてどうるすんだよ!
なのに根本的な部分はやっぱりムックだなあと。覚えにくい独特なメロディとか。

アンサーソング(で、いいのかな?)のこもれびは雨が上がるにつれて明るく爽やかに変わっていくメロディがいいですね。歌詞も前向きでなんか救われた気分になります。
てっきり逹瑯作詞かと思ったらなんとミヤでした。作曲もユッケといっしょにしてるっぽい。
あんたこんな歌詞も書けるのか…。


・つばさ

ライブで聞いたときには合唱に驚きつつも感動したもんだ。

いままで散々止めを刺してきたのに今回は消毒してくれるこのラスト曲。
こんな希望が詰まった曲をムックが歌う日が来るとは…。
「愛」「絆」などをテーマにした曲が多い今回のアルバムの締めくくりにはふさわしい歌だと思います。
ただ、イントロとかがFFとかにありそうな感じがする。なんかゲームっぽい…。


・おまけCD

遮断を聞いたときに最初に思ったのは

これだよ!!これこそがムックだよ!!!

痛く重たい歌詞と暗く激しいメロディに逹瑯の包丁で襲い掛かってくるようなボーカル、これぞムック!この重苦しさと死臭がたまらない。
この曲、初回限定なのが実にもったいない。でもこれをこのアルバムに入れてしまうと明らかに浮いてしまうのでおまけに入れたのはいい判断だと思います。でもやっぱもったいない…。

もう一つのオマケの最終列車のフォークバージョンは、原曲を知っているとなんか笑えます。この何ともいえない哀愁感。原曲の疾走感はどこへやら。たいやきくんアレンジ並です。
そういやタイトルだけ見た時はは本当にこんな感じの曲だと思ったもんなあ…。
不自然に盛り上がるのを阻止したかったんだろうけど、やっぱり歌詞は省かなかった方が良かったかな。どうせなら全部このノリで聴きたかった。

■さくっとレビュー

・サル
愛に目覚めてもやっぱりミヤはミヤなのねという曲。

・鳶
え?ちょっとなにこの普通にカッコいい曲。
なんかスーツ着た男がタバコをふかしながらコーヒーを飲んでるようなカッコよさ。

・蜘蛛
逹瑯って凄いなあ…と感じずにはいられない。
こういうまさに疾走!!って感じの曲は大好きです。

・モンスター
ニートって言葉を使いたかっただけなんじゃと思ってしまった私はVIP系ブログの見すぎのようです。
人間を化け物に例える歌詞に合わせて曲もすんごいダーク。

・優しい記憶
いい曲なんですよ、本当にいい曲なんですが…。
ぶっちゃけこれをムックがやる意味はあるのかなとちょっと思いました。

・ココロノナイマチ
私の初ムック。これだけ聞いたら普通にいい歌歌うバンドだなーと思うんですよね。

■まとめ

今回は愛をテーマに歌ってる歌が多いですね。
正直、私は愛の歌を連発されるとなんか安っぽく感じてしまって萎えてくるんですが、人を信じられなくなって要らない眼を潰して死にたい殺してやると呟いていた彼らが歌う愛は何度連発しようがかなりの説得力があります。

このレビュー書いている最中に気付いたんですが、最初聞いたときにピンと来なかったのは目立つ曲が無かったのではなく全ての歌がよく出来ているからなんですよね。ピックアップが気が付けば全曲レビューになるところでした。泣く泣く削っても結局多めになってしまいましたが…。

なんか今までのアルバムの良い所を纏めた感じですね。足りないのは死臭のみ。
ファンになって短い私でさえ成長が分かるのだから凄いバンドだなあとしみじみ感じます。

ただ、私はマチ針でチクチクされるよりは一思いにザックリやって欲しいタイプなので個人的には朽木の方が好きだったり。でも、やっぱりこのアルバムは凄いわ。

ムックに興味が出てきた人はまずはこのアルバムから聞いてみてはどうでしょう。

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