■死体は語る
著、上野正彦
購入理由…タイトルが気になったから

タイトルからサスペンス的なものかと思ったら監察医さんが自分の仕事について語っている本でした。

これがなかなか面白いのですよ。
例えば大事な所を切り取られた死体を発見し猟奇事件かと思った死体を調べたら病死で、じゃあ切り取られたそれはどこへいったのかと思ったらなんと猫に食われていた…など。人一人死んでるんだし笑えない話なんだけどついつい笑ってしまったり。

死体の話なんですが教科書のように淡々と語っていて全然グロく無いしむしろ法医学の勉強になるのでグロ苦手ーって人でも軽く読めると思います。

今から人を殺そうと考えてる人は一度読むといいですよ。多分殺した後の事を考えると凄くめんどくさくなって殺す気失せるから。お勧め。
やっぱ世の中そう簡単に悪い事はできないんだなー。


■写楽まぼろし
著、杉本章子

購入理由…つい某ボイスコーダーさんの名前に反応してしまっただけだったり。

読み始めたときは「また時代劇か!!」と軽く落胆しました。っていうか背表紙とかちゃんと確認すれば分かる事じゃん私の馬鹿。
…が、読み進めるとこれがなかなか面白い。

簡単にストーリーを説明すると江戸時代の本屋さん「蔦屋」の経営者の重三郎の波乱万丈な人生を描いた伝記みたいなものなんですが、当時の本屋さんの裏事情やら何やらが分かりやすく書かれていて「へぇ〜」ボタンを押したくなるような事ばかり。

日本史ダメダメな私でも楽しめたんだからこれはお勧め。ぶっちゃけちゃうと実際最初のほうの跡取がどーのこーのとかはあまり理解していないんですけどね。ほとんどニュアンスで受け取って読んでます。

あとがきを読むとこの本に出てくる人物って実在していたそうで。
写楽っていう絵師さんが居たのは軽く知っていましたが…。ギャグ漫画日和の増田先生もそうだけど実際の歴史についてこうやっていろいろ想像を膨らませる事ができるのって凄いなあと思いました。方向は全然違うけど。

しかし背表紙で重大なネタバレをするのはどうかと思います。


■地獄変・偸盗
著、芥川龍之介

購入理由…太宰治、宮沢賢治と来たら芥川龍之介しかないっしょ。

偸盗ってなんて読むのか分かりません。ろんとう?

芥川龍之介と言えば羅生門ぐらいしか知りませんでした。
そして最近まで羅生門は太宰治の作品かと思ってました。多分学校でメロスと同じ時期に習っていたからだろうなあ。しかも朗読とかまともにしてなかったせいで羅生門の内容はまったく思い出せません。たしか髪の毛抜くお婆さんが出たのは覚えてるけど。
こうやって二人の作品を読むと勘違いする要素が全く無いですね。全然違うじゃん。

感想は一言で言うと難しい。
何と言うか、使ってる言葉の一つ一つが頭がいいんですよね。私みたいな普段本を読まないバカには注釈無しでは理解できません。一冊読むのにやけに疲れてしまいました。

「藪の中」とか最初全然理解できなくて何回も読み直してどうにか理解しました。
要するに人間って物事を自分の都合のいいように解釈してるんだよーって事ですよね?自信無い。

そしてやっぱり漫画やドラマだけじゃなく小説も時代劇ものは苦手なことが判明しました。
私には大正時代以降ぐらいが限界みたいです。着物チョンマゲ時代の話はバカ殿以外ちょっと無理。


■風の又三郎
著、宮沢賢治

購入理由…プラネテスに出てた「クズコードブリ」が気になったから。

宮沢賢治といえば私が知っているのと言えば教科書で習った「やまなし」「銀河鉄道の夜」ぐらいです。しかも「やまなし」のタイトルは「クラムボン」かとずっと思ってました。そうか、そういやこんなタイトルだった。

童話作家とだけあって動物の登場率が高いですね。しかも哺乳類昆虫置き物などなど節操無し。たぬきの置き物とか別に他の生き物でも良かったような気もします。

しかし、そんな動物が喋って家庭を築いているメルヘンチックな世界なのにどこかリアルで残酷。なんか童話独特の残酷さっていうのかな?ほら、例えば「かちかち山」で溺れ死んだたぬきとか「赤い靴」で足チョン切られた主人公とか「お菓子の家」で釜に突き落とされる魔女とか。自業自得なんだけどエグイんだよね。そんな童話独特の残酷さ。

てかハッピーエンドなのたしかカエルのやつだけじゃん。あれも3日ぐらい落とし穴の中で溺れてたような気もしますけど。

人間が登場する話もありますが、ほとんどが方言だらけで解読できないってどういう事ですか。「風の又三郎」はまだ読めるけど「十月の末」はもうオチが理解できないぐらい。注釈もっと入れてくれよー。変なくそ長い後書きとかいいからさ。

ところで風の又三郎と北風小僧のかん太郎って似たようなもんですか?


■イン・ザ・ミソスープ
著、村上龍

購入理由…ネーミングセンスに惹かれて

直訳すると「味噌汁の中」ですよ。読んでみたくなるじゃないですか。
そして読んでみたら風呂で読むにはちょっとキツいかなーという内容。
ぶっちゃけアレだ。グロい。なんか文章でのグロシーンって漫画とは違ったキツさがありますよね。すっげえ生々しい。

でもそのグロに持っていくまでがちょっと長い。
何の変哲もないアメリカ人フランクを気持ち悪く見せる描写に力を入れすぎてて読んでると「はよ何か行動起こせよ」って気分になってきます。起こしても気分爽快にはなりませんけどね。ちょっとくどく感じました。

内容は日本人批判みたいなもんでした。フランクの意見を聞いてると「あーなるほど」って少し思ってしまいますもん。タイトルのミソスープの意味も最後に納得。

しかし、読後感はなんかあんまり…。
「え?これで終わり?」って感じでぶっちゃけ不完全燃焼。これは人によるんでしょうけどね。「ご想像にお任せしますエンド」はあまり好きじゃないので。

ところでこれ新聞で連載してたんですね。びっくり。なんか新聞の連載物ってテレビで言うNHKみたいな感じでお堅いイメージがあったのでびっくりしました。こんな風俗の話やらグロい部分やら載せていいもんなんですね。

歌舞伎町って言葉を聞くともう銀魂しか出てこない私がいます。


■人間失格・桜桃
著、太宰治

購入理由…ミドリカワ書房があまりにもお勧めしているので有名なのから読もうかと。

あの人本当に太宰治好きですよね。何かのコラムか雑誌でも熱く語ってましたし。
なりきり写真には思わず笑っちゃいました。欲しかったなあ…あの物販のポロマイド。

しかし字が小さい。長い。そして注釈無しではよく分からない単語が多い。
最初は本気で字の小ささと密度に眩暈を感じながら読んでましたが、途中からはもう黙々とのぼせて倒れそうになるまで読んでしまいました。ハマるわこれ。

主人公が結構自分と被る部分があるんだよなあ。多分人間誰でも心の底では同じこと思っていると思います。「牛の尻尾」には思わず納得してしまいました。こんなに的確な例えがあったとは。
ぶっちゃけると女にモテモテの人間恐怖症の男の人生を綴ってあるだけなんですけどね。
なんか読んだ後はムック聞いた後の気分になります。葬ラ歌辺りの。

教科書に載ってた「走れメロス」ぐらいしか知りませんでしたが、こんなの書く人だったのか。他にも「トカトントン」やら「桜桃」やら載ってますがこれもまた凄い人生に疲れきった作品だなあ。てかメロスと人間失格って全然違うじゃん!どういう心境の変化があったんだろう。


■ちぐはぐな部品
著、星新一

購入理由…星新一はショートショートの神様だと思います。

小学生の頃は週に一回の読書時間のたびに王さまシリーズと星新一のコーナーに行っていたもんです。
ほかの友達とかはなんか可愛い少女漫画のような挿絵の本を読んでいたのに…。
しかし中学校では読書の時間がないので図書室に行く事なんてめったにありませんでした。

そんで懐かしいなあと読み直しましたが、いやーほんとこの人神様ですよ。
よくある博士(または金持ち)とドロボウとのやり取りも面白いけど、「凍った時間」や「壁の穴」みたいな虚しさの残る作品があったりして本当にどっからこんなネタ湧き出てくるんだってぐらいです。

もう小学生の頃に読んだのとかほとんど覚えてないからまた読み直そうかしら。


■ベロニカは死ぬことにした
著、パウロ・コエーニョ 訳、江口研一

購入理由…実は一年ぐらい前に買ってたんだけど3ぺージで飽きて放置してましたごめんなさい。たしか「これ最近の本なのに安くね!?」って思って買ったような。全然最近じゃないっつーの。

読む前はてっきり生きているって大事な事なんだよだからみんな人生楽しんでねー的なテーマで話が進んでいくもんだと思ってました。

 全 然 違 っ た 。

まあ、ある意味そんな内容なんですが…。
自殺しそこねたベロニカさんは精神病院に入れられて、そこで出会った狂人と呼ばれる人たちに触れることで「押さえつけていた本当の自分」に気付かされ、そして狂人達もまた少ない日数を懸命に生きようとするベロニカを見てまた「生きること」を学ぶ。

なんかぶっちゃけちゃうとそこまでハラハラするような山場もないしなんか淡々と進んでいくような感じですが、読み終わったあとはなんか心の何かが軽くなった感じがしました。

あと、ちゃんと読んで何故3ページで飽きたのかも分かりました。あれだ、最初の方のパレスチナがどーのこーのやデザイン雑誌?がどーのこーので頭がこんがらがったんだ。現地の人にはよく分かるんだろうけど地理がほぼ赤点だった私にはさっぱりです。こういう部分は外国作家ならではだなあと。

それと翻訳が悪いのかなんか読みづらいんだよなあ。読んでて何回か「ええー?なんか変じゃね?」って部分がありました。

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